December 2007アーカイブ

生きようとするのも不思議だが、帰ろうとするのも不思議な話だ。

 

郷愁という言葉で思い浮かべるのは、

ヘッセの郷愁という本で、これは青空色の布地がソフトカバーに張られた本だった。

山から吹き降ろしてくる風が春を呼ぶ、田舎の描写から始まったと思うが、

その空の色は本の表紙の色と強く結びついている。

 

もうひとつ、

ゆるやかにうねる小道を進む時、現れては消えていく景色の反復が懐かしさを生みだす、

というのは宮崎駿経由で知った荒川修作の見解だが、もっと一般的な、人間工学とかそういう分野の知識なのかもしれない。

TBSから赤坂見付まで続く通りは、ゆるやかにうねっている。左右ばかりでなく、不思議に上下にも緩やかにうねっていたりする。街灯が巨大なエノキダケのようになっており、視界の垂直構造を定義している。

この道を通るとき、強く郷愁を感じる。

変化を続ける景色の反復を伝っていけば、輪廻転生や円環の廃墟にたどり着きそうだ。

 

郷愁ほど生理と結びついた感情が他にあるだろうか。

郷愁ほどあらゆる感情の基層をなしている感情が他にあるだろうか。

無理に漢字2文字にすることはない。

密林を散歩するが、実際に手に取るのは憚られる師走だ。

 

最近読んだ本

黒部第三ダム建設へかけた労働者達。自然との壮絶な闘い。超面白い。

 

今読んでる本

バークリーメソッドという商業音楽を論理的に作成するためのツールが、どうしてできていったか。超面白い。

そろそろ具体的な論理に入りつつある。ついていけるか。

 

これから読みたい本

3000年前までは、神が右脳にささやきかけていたらしい。すごい。

 

カンブリア期の大爆発が眼きっかけで起こった、という話なのだろうか。

 

 

大体風呂につかりながら読んでいる。

会社ではトイレで漫画を読んでいる。

深夜にハンバーグを食べながら思う。

グラッセほどにんじんを不味く感じる料理があるだろうか。

ハンバーグは幼年期の憧憬のひとつだが、

その右後方ではいつも、甘く煮られたにんじんがこちらを見ている。

楽しいことは、苦々しさとの対比でその輪郭を際立たせる。

子供が、そうやって前向きにジレンマを解消できるか分からないが、

いずれにしろにんじんのグラッセは不味い。

ちょうど去年の今頃、四谷に引っ越した。

ぶらぶらしていて、紅葉に燃える神宮の銀杏並木に行き当たったのだった。

鮮やかな黄の勢いが、初めて住む東京の真ん中の珍しさと合わさり、強く記憶に残った。

 

今年も、通勤路を遠回りして、だんだんと色づいていく銀杏を楽しみにしていた。

今、銀杏は去年と同じように紅葉に強く燃えている。

その木々の下を、たくさんのおばさんが歩いている。

たくさんのおばさんが。

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